- ■イタボガキ科マガキ属(Crassostrea)の牡蠣
- ■マガキ・真牡蠣・真牡蛎 (Crassostrea gigas/ Pacific oyster)
- ■シカメガキ ・クマモトオイスター(Crassostrea gigas sikamea/ kumamoto oyster/ )
- ■スミノエガキ・セッカ・ヒラガキ・住之江牡蠣・住之江牡蛎(Crassostrea ariakensis)
- ■オニガキ
- ■イワガキ・岩牡蠣・岩牡蛎・夏牡蠣 (Crassostrea nippona/ Japanese oyster/ Rock oyster)
- ■ポルトガルガキ(Crassostrea angulata)
- ■ヴァージニカ・イースタンオイスター・アトランティックオイスター(Crassostrea virginica/Eastern Oyster/Atlantic Oyster)
■イタボガキ科マガキ属(Crassostrea)の牡蠣
今回は牡蠣の仲間であるイタボガキ科、ベッコウガキ科の中でもまずは最も食用士品種の多い、イタボガキ科のマガキ属についてカキコの目線で調べてみました。
★世界の牡蠣まとめ(+ベッコウガキ科)
https://namagaki.org/oyster-matome/
★イタボガキ科マガキ属(このページ)
★イタボガキ科イタボガキ属
https://namagaki.org/ostrea/
★イタボガキ科オハグロガキ属★トサカガキ属★Tiostrea属
https://namagaki.org/lopha-tiostrea-saccostrea/
では行ってみよう~!
■マガキ・真牡蠣・真牡蛎 (Crassostrea gigas/ Pacific oyster)
まずは何と言っても世界中の牡蠣のなかで最も流通しているポピュラーな牡蠣が真牡蠣です。世界に分布する牡蠣のおよそ55%が真牡蠣だと言われています。それだけ繁殖力、生命力、環境適応力のある種類であるという事です。
画像:マガキ
特に日本の真牡蠣は生命力と繁殖力が強い種類であるようです。しかし、海外の需要に反して日本の真牡蠣はミルキーで大型になる傾向にあるので、各国で品種改良が施されているのかも(?)しれません。日本でも同じ真牡蠣でも生育地によって殻の形や味わいがかなり異なるため、環境による変化が大きい印象があります。
■パシフィック(Pacific)
アメリカでは真牡蠣はパシフィックオイスターの名で最も流通している牡蠣となっています。ワシントン州の養殖カキの98%は真牡蠣と言われています。
ワシントン大学の研究では、1902年に持ち込まれた牡蠣がワシントン州で最初の牡蠣で、その後、1920年代に養殖に適していることが分かり、日本から定期輸入されていました。
後述するクマモトオイスターのところでも出て来る話ではありますが、戦後12年前後アメリカへの牡蠣種輸出を行っていた生産者たちが次第に海苔養殖へ移行したこと、そしてアメリカでも1970年代後半にはワシントン州で牡蠣の養殖・繁殖技術が進んだことで、日本からの輸入はなくなったという歴史がありました。
■三倍体牡蠣
夏でも産卵しないことで身が細くなることがなく通年出荷を可能とした真牡蠣が開発され生産者にとっても消費者にとってもメリットが大きいことから近年普及しています。
また、三倍体牡蠣は今後カキ養殖の最大リスクである大量死の問題を軽減する意味でも養殖牡蠣としてもますます採用される方向になるのではないかと予測されます。
イギリスのロンドンから電車で約1時間半のエリアにあるウィスタブルでは1985年から「牡蠣のお祭り」として「ウィスタブル牡蠣祭り」(Whitstable Oyster Festival)というものが開催されるのですが、そこで使われる牡蠣もイギリスで養殖された日本の三倍体牡蠣の真牡蠣だそうで、開催されるのもその特徴を存分に利用した、「夏」に行われるそうです。
人々が活動的になる「夏」にこうしたお祭りが開催されることで、参加者はずっと多く見込まれるでしょうし、それはまさに三倍体牡蠣の恩恵とも言えます。そして、こうして本来「R」が付かない月にはご法度という牡蠣というイメージは現代では消えつつありそうです。
■フランスの最高級ブランドかき・緑牡蠣(グリーンオイスター/クレールオイスター)も真牡蠣の種類
フランスには「クレールオイスター」というエラが鮮やかなエメラルドグリーンをした真牡蠣があって、とても人気があります。クレールとはフランス語で「塩田跡地」を意味するので、少し塩気の強い風味が楽しめるのかもしれません。
画像:クレールオイスター
日本の牡蠣に馴れたカキコからすると、まず第一印象で、このグリーンがですねちょっと。。(汗)すみません。どうもお餅に生えるカビの色を連想させてしまって、若干怯むわけですが(ごめんなさい)クレールオイスターはこの緑が鮮やかであればあるほど品質が良いという評価をされているそうです。
そして、気になるこのエメラルドグリーン色が一体何なのか?というと、これはクレール特有の植物性プランクトンによるものなので、なんと自然の恵みの配色でした。
フランスのビスケー湾にあるオレロン島では、ナビキュール・ブルーという青いケイ藻の生えている養殖池に移し、その藻を餌にして育てて外套膜を緑色にさせる。その養殖の歴史はローマ時代にさかのぼるといわれている。
引用元:柴田書店「料理百科事典」
また、日本の牡蠣のようにプリっと真珠色に膨らんだ形ではなくて、どちらかというとペラペラの水っぽい印象の外観なのですが、食べた感想を色々見てみたところ、味や触感も外観通りのようです。
・海の磯味を楽しむ貝ヒモ風
・みずみずしい触感で爽やかに海の味が広がる
・食べる重量感というよりも、すするオードブル的な印象
日本のミルキーな牡蠣の味が若干苦手。。という方はこちらの生牡蠣の方が美味しくて食べやすい!と感じられるようです。こんなお話を見ると、カキにもかなり好みの幅があるものだなあと感じますね。
■広島産クレールオイスター・塩田熟成牡蠣・日本産緑牡蠣も真牡蠣の種類
少し調べてみたところ、日本でもこの緑色のクレールオイスターを広島県で養殖している鈴木ファームさんのお話がありました。
画像:鈴木ファームさんの塩田熟成牡蠣
鈴木ファームさんが作られている広島産クレールオイスターは、牡蠣をカゴに入れて養殖する欧米式のスタイルを用いながらも、フランスの牡蠣に比較すると、写真で見ただけでも日本産の真牡蠣のプリプリの要素が十分にあり、とてもミルキー度や食べ応えに差がありそうです。
※緑色になるのは時期によるようです。
そこには理由があって、元々は広島産のブランド牡蛎である「かき小町」という品種だからだという事が分かりました。さらにかき小町は広島の三倍体牡蠣でもあるので、研究を重ねた上に生まれた日本を代表する牡蠣として世界で大きな市場を獲得する日も近いのかもしれません。今後ますます注目の牡蠣ブランドとなりそうです。
こちらの方がカキコは数段好きそうです!
クレールオイスターを日本の牡蠣の美味しさを残しながら日本で実現した鈴木ファームさんの塩田熟成クレール牡蠣は、牡蠣好きなら必ずや食べてみたい牡蠣であります♪
■クレールストライプオイスター・広島県産塩田熟成縞牡蠣も真牡蠣の種類
同じ鈴木ファームさんがつくられている塩田熟成縞牡蠣(クレールストライプオイスター)も食事を目で楽しむ豊かさを見事に実現した、とても素敵な牡蠣です。
画像:鈴木ファームさんの塩田熟成縞牡蠣
縞牡蠣は300年以上もの歴史を持つ広島牡蠣の原生種であるそうです。名前の通り、見事な縞模様をしています。日本では牡蠣は中身が大事で、あまり殻の美しさや形状にはこだわらない文化ですが、海外では味以上に殻の美しさや、身の大きさの揃った粒が牡蠣の評価にとってはとても大事であるようです。
余談ですがカキコはクリスマスローズやバラも自宅で育てており、植物に関してはどうも色々な品種がある中でも、原種に近ければ近いほどとても生命力が高くて病気などにも強い傾向にあるので、もしかすると牡蠣もそうなのではないか?という仮説を今回調べた際に持ちました。
ココロが震えるほどの美味しさ!とオフィシャルページには鈴木ファームさん直々のご紹介もあったので、こちらも必達の牡蠣としてカキコは完全にマークしました(笑)!
■シカメガキ ・クマモトオイスター(Crassostrea gigas sikamea/ kumamoto oyster/ )
イタボガキ科マガキ属の2つ目。シカメ牡蛎は、元々は九州の八代海や有明海の干潟域エリアと福井県の久々子湖エリアに自生する自地元特有の牡蠣です。特に八代海周辺で食用として存在した牡蠣として有名であるようです。
小粒でありながらも独特の強い甘みを持つシカメ牡蠣は、現在最も流通している真牡蠣に比較すると現在でも大変普及量が少なく希少なものとなっており、アメリカからの逆輸入も未だに多いそうです。
シカメ牡蠣は元々は真牡蠣の一種(有明海における地理的変異種)だと思われていましたが、近年の研究で真牡蠣とは同じマガキ属ではあるものの、厳密には別の種類で、より塩分濃度が低い場所に生息するという特性があることが分かっています。
しかし、2005年(平成17年)ころを境に試行錯誤の末、今では国内でもわずかに養殖生産されています。熊本県では県の水産研究センターが協力し、熊本産として改めて売り出そうと、養殖に力を入れ始めています。
6月の下旬ころから出荷となるページがあったため、てっきり「夏の牡蠣」かと思ったのですが、よくよく調べると本来は12月~3月が旬のようですので、こちらの牡蠣も三倍体牡蠣の養殖開発が進んでいると思われます。
その味わいも「リッチな味わい」「フルーティーな香り」と独特のものがありそうです。
シカメ牡蠣の生産をされているKUNISAKI OYSTERさんの牡蠣が食べられるレストランのリンクがありましたのでご紹介させていただきます。私も都内の店舗に今年是非行ってみたいと思っています!
これはまた楽しみだ~♪
■アメリカの高級牡蠣クマモト・オイスター/クマモト/クモ(kumamoto oyster/kumamoto/kumos)
実はシカメガキの別名はアメリカで高級牡蠣として大人気のクマモトオイスターです。クマモトオイスターは第二次世界大戦の終戦直後にGHQ占領下の日本で、あのマッカーサーさんにより日本の牡蠣をアメリカへ送るよう指示があったことがきっかけでアメリカへ渡った日本のシカメ牡蠣です。
なんと!
画像:クマモト・オイスター
アメリカへ渡った当時はワシントン州のピュージェット湾とウィラパ湾のみで養殖されていました。
どれだけ人気を博していたかを示す言葉として、「Western Gem(西方の宝)」などというアイドルの売り出しのキャッチフレーズのような呼称があるくらいです。
ちなみに…昭和のアイドルのキャッチコピーはこんな感じでした…。
浅野ゆう子さん「ジャンプするカモシカ」
河合奈保子さん「ほほえみさわやかカナリアガール」
香坂みゆきさん「飛び出せビーバー14歳」
酒井法子さん「おきゃんなレディ」
沢田聖子さん「イルカの妹」
ピーターさん「アポロが月から連れてきた少年」
なかなかですw
さて、1960年代からアメリカ各地で養殖されるようになったクマモトオイスターは今ではクモ(kumos)の愛称で普及しています。
なぜ真牡蠣ではなくて熊本のシカメ牡蠣がアメリカへ渡ったのか?という話についてはとても感慨深い背景がありました。詳しくは下記リンクをどうぞ。
■シゴク・至極(Shigoku)
ワシントン州シアトルには、1890年代に創業しアメリカ最大のオイスター養殖業者となったTaylor Shellfish Farms の本社があり、そこで養殖されている小粒の牡蠣に「至極」という日本語の名前が付いた人気の牡蠣があります。
アメリカでも普通に漢字表示をされているらしいです。アメリカ人の謎の感じに対する憧れもあるのかもしれません。英語の「ultimate」を意味する言葉として選ばれたようです。
そういえば、カキコの友人の留学先の同級生に「違」という漢字をタトゥーで腕に掘っている若者が居ましたw
ブイにぶら下がった袋の中で貝がぶつかり合って育つことから殻と身がきゅっと引き締まるのが特徴とされています。
元々普及していた「オリンピア」が小粒で一口で食べられるサイズであることからシゴクもとても人気の品種となりました。現地の生産者は「オリンピア」と「マガキ」のお互いの良さが共存している牡蠣であることが人気の要因と分析しています。
そういう意味ではクマモトオイスターもそんな感じですね。
■クッシ・屈指(Kusshi)
大人気ブランドの地位を獲得したクマモトオイスターを超える牡蠣の生産を目指してカナダの生産者が研究に研究を重ねてより大量生産が出来て強い牡蠣として生み出した「クッシ」。こちらはカナダのバンクーバー・アイランドにあるディープ湾で養殖されています。
カナダの牡蠣もフランス同様、養殖牡蠣の90%以上が日本の牡蠣の子孫で構成されているそうです。
とはいえ、やはりクッシも世界で人気の小粒のフォルムであり、同じように英語の「precious」を意味する漢字の名前「屈指」が付いています。
もう何となくブランド牡蠣には日本語名をつけると人気が出ると言うようなジンクスでもあるのではないかと思ってしまいましたがw
調べてみると、クッシはシゴクと養殖技術上、兄弟姉妹であるとのこと。(クッシの養殖技術がアメリカへ渡った模様)
ジンクス通り?さっぱりとして少し甘みも感じられるハイクオリティーな牡蠣として支持されているようです。
■スミノエガキ・セッカ・ヒラガキ・住之江牡蠣・住之江牡蛎(Crassostrea ariakensis)
イタボガキ科マガキ属の3つ目。先ほどのクマモトオイスターことシカメガキが自生していた地域と重なる、有明海沿岸の住之江に生息していたのがスミノエガキです。住ノ江河口はかつては広島と並ぶカキ養殖の産地でした。養殖自体は明治末期から始まっていたそうです。
スミノエガキはシカメガキ(浅いエリアに生息)に比べると湾奥部の川の水が平時にも入ってくるところで殆ど干出しないエリアに生息している牡蠣です。
画像:スミノエガキ
大きさについても成長が良いため、大きくなる傾向にあり、産卵期が5月~9月であることから「冬の牡蠣」であるようです。
地元では1950年代後半頃まで地撒き式のスミノエガキ養殖が盛んに行われ、有明海の準特産として食用にされていたようですが、あまり一般には流通することはなく、シカメガキ同様、生産者が海苔の養殖へ移行したためにスミノエガキの養殖も衰退へ向かってしまった経緯がありました。
画像:スミノエガキ
味についてですが外海で育つ牡蠣とは違い、まろやかな風味で貝柱が大きく食べ応えのある牡蠣であるようです。上品な味と表現している方もいました。
ところが、養殖のスミノエガキ生産者というものがなかなか見つからないことから、出されるスミノエガキの大半は天然ものだと考えて良さそうです。全体数が少ないからか単価も比較的高いそうです。
■赤潮による海苔の色落ち被害の防止策として有明海でスミノエガキの養殖がテスト段階に入る
有明海では前述のように海苔の養殖が盛んとなり、カキ養殖については衰退してきたわけですが、近年、赤潮の被害が多発して廃業に追い込まれる海苔の生産者も増えている問題を抱えています。
画像:海苔養殖場
少し調べてみて「そうなのか!」と思ったことは、牡蠣の栄養となるプランクトンは海苔の養殖にとっては害を及ぼすものとなるという話。
結局、1977年には546万平米もあった牡蠣礁を海苔生産のために3分の1になるまで人工的に壊してことが、プランクトンの大量発生による貧酸素水塊を発生させ、赤潮の原因になったという報告がありました。
自然のバランスはよくできていますね。
そこで新しい活動として佐賀県有明海漁業協同組合 青年部の提案で、赤潮の原因となる大量のプランクトン発生の抑制策としてプランクトンを食べて成長する二枚貝の養殖が再び海苔養殖場の近隣で試験的に行われるようになりました。
そこで再注目された二枚貝として以下の理由から「スミノエガキ」が選ばれました。
●生産の対価として一定の販売単価が見込める品種
●養殖に手間があまりかからない品種
●有明海特産物
こうした実験が平成26年の12月から行われていたそうなので、そろそろ全国へ商品として流通できる養殖スミノエガキが誕生してもいい頃合いかもしれません。
楽しみですね!
■オニガキ
イタボガキ科マガキ属の4つ目。スミノエガキはシカメガキ、真牡蠣とは別の遺伝子であることが近年の研究で分かり、八代海不知火地方に存在する「オニガキ」という大型牡蠣とは遺伝子的に同じ種類だという事が分かっています。
画像:オニガキ??
オニガキについてはあまりにも情報がなかったのですが、これではないか??という写真が地盤研究・土質研究グループさんのサイト内の八代海湾奥部の泥質干潟である不知火干潟のページに1点だけありました。
見るからに鬼っぽいのですが…もしご存知の方がいらっしゃいましたら教えて頂けると嬉しいでーす。
■イワガキ・岩牡蠣・岩牡蛎・夏牡蠣 (Crassostrea nippona/ Japanese oyster/ Rock oyster)
イタボガキ科マガキ属の5つ目。カキコの大好物・岩牡蠣に行ってみたいと思います♪イタボガキ科のマガキ属の仲間ではありますが、真牡蠣との最大の違いは「もともと旬が夏」というところとその大きさかと思います。
そして、日本特有の牡蠣!
2019年8月撮影
岩牡蠣についてはこの記事の冒頭でもご紹介した「真牡蠣と岩牡蠣」のページで詳しくご紹介しています。
特記事項としてはその記事にも書いた内容で重複するのですが、このような大型の生牡蠣は海外ではあまり需要がないらしいという驚きです。
海外の方はあまりクリーミーで重量感ある肉厚の岩牡蠣の魅力は分からないようです。いや、知られていないだけかも…。
謎です(笑)。
チョット不謹慎かもしれませんが、カキコからすると、かなり胸を撫でおろすことになった情報なのでした(笑)
■ポルトガルガキ(Crassostrea angulata)
イタボガキ科マガキ属の6つ目。ポルトガルガキです。これはわが国ではあまり聞きなれない名前ですけれども、実は2017年に日本の沖縄県金武湾でも自生しているのが見つかっている牡蠣です。
小ぶりで味が濃厚な味わいでかつてはフランスでも多く養殖がおこなわれていましたが、病気に対する耐性、繁殖力、生命力、成長力の意味では弱く、生産が世界的に途絶えている牡蠣であるため、現在では希少価値が高い牡蠣となっています。
フランスでは1970年代までに次々牡蠣の疫病が流行り、フランス産のヒラガキとポルトガル牡蠣が絶滅寸前にまでなる大量死滅が起こりました。その際に日本の宮城県産の真牡蠣が渡ることになります。
ポルトガルガキであれば収穫までに4-5年かかるところを、宮崎県産の真牡蠣は1年-1年半で収穫できる成長性、病気に強い種の強靭性メリットも評価されたため、その後は真牡蠣が養殖の中心となった背景があります。
宮城県の真牡蠣がフランスへ輸出されることになったお話はコチラ↓
■ポルトガル牡蠣がフランスでも採れるようになった要因
さて、ポルトガル牡蠣の産地はこれまでポルトガル、フランス、スペイン等の欧州だとされてきました。
そして、原産地はポルトガルとされてきており、そう言われるようにポルトガルからフランスへの輸出がされる時代が続いていました。
フランスでも生産されるようになった経緯には、1868年に起こったアルカッション湾での台風と巻き込まれた船に輸送中のポルトガル牡蠣が積まれていたことが要因として挙げられており、
台風被害の影響によって船の中でポルトガル牡蠣が腐り始めたことから、船長の命令で近隣海域に輸送中の貝が捨てられ、その中でわずかに生き残っていたポルトガル牡蠣が繁殖したことでフランスのアルカッション海域でもポルトガル牡蠣が採れるようになったと言われています。
1905年頃のフランスで水揚げされたポルトガル牡蠣は、年間生産量10万トンを超える記録があったそうです。
■ポルトガル牡蠣の原産地はどこ?台湾原産説問題
「NOAA米国海洋大気圏局」レポートによると、ポルトガルではおよそ紀元前140年から西暦400年のローマ帝国支配時代から牡蠣が重要な食糧源として食べられており、20世紀半ばころから養殖も行われるようになっていたそうです。「ポルトガル牡蠣」の名は1819年にフランスの著名な博物学者だったラマルク(シュヴァリエ・ド・ラマルク)が学名として与えたことが最初だという話でした。
ところが、近年台湾からそれを覆す「ポルトガル牡蠣の台湾海域原産説」が主張されています。
1998年にこれまで日本の真牡蠣だと思われていた台湾の牡蠣が、学会誌のレポートで「ポルトガル牡蠣」であるという資料が発表されました。
2008年になって、改めて別件の経緯でポルトガル牡蠣のDNA分析を行った基隆の行政院農業委員会水産試験所の研究員によると、台湾の牡蠣とポルトガル牡蠣のDNAはほぼ一致することが確認され、改めて同一の牡蠣であることが分かったのでした。
そして、研究員は翌2009年11月に台北開催の「第三回インターナショナル牡蠣シンポジウム」で台湾原産であることが濃厚であるとしてポルトガル牡蠣の名称変更についても主張されています。
「16世紀の大航海時代になり、1544年にヨーロッパが台湾を発見し通行を始めてから、200年の長きにわたってヨーロッパとアジアの海運貿易が盛んになり、期せずして台湾の牡蠣がポルトガルに持ち帰られ、それが自分の種を増やし、2世紀を経た後にラマルクによって名前を付けられたのである」
一方のポルトガルも、台湾原産の仮説には異論を主張していますけれども、フランスの貝養殖委員会CNCをはじめとしたフランスの牡蠣業界では年代については不詳としつつもポルトガル牡蠣は台湾が原産地であると既に認識しているような発言があったりと、ポルトガル牡蠣の原産地と名称についての話題は今後も双方の話し合いが必要そうです。
台湾にほど近い日本の沖縄県でもポルトガル牡蠣が自生していたという話についても、この問題の台湾説を裏付ける発見ともなり得そうです。
そんな欧州でポルトガル牡蠣全盛だった時代の名残がフランス語の慣用句(言い回し)として残っていました。
■ヴァージニカ・イースタンオイスター・アトランティックオイスター(Crassostrea virginica/Eastern Oyster/Atlantic Oyster)
イタボガキ科マガキ属の7つ目。アメリカの東海岸ワシントン州に自生していた牡蛎で、もともとアメリカにはこのヴァージニカとオリンピアの2種しか存在しなかったと考えられています。
画像:ヴァージニカ
現在はカナダの東端ニューブランズウィック州で養殖されていることで有名な人気の牡蠣です。近隣都市であるボストンでも流通しているメインの牡蠣となっているそうです。
この牡蠣は欧米で人気の小型種ではなく、比較的大型になるタイプであり、塩味が強く汁分が多いことが特徴となります。しかし養殖されるエリアの冬の気温が大変低いこともあり、成長が非常に緩やかであることから一定の大きさになるまでに3、4年の養殖期間が必要となるという話がありました。
写真ではプリプリの様子からクリーミーな日本の牡蠣の味を想像しそうですけれども実際はあまりクリーミーさはないさっぱりした味わいで、後味に独特な苦みが残る風味をしているそうです。
私は、もう20年も前の話になりますけれども2000年頃に実はボストンで牡蠣をたくさん食べて居まして、ああ、あれはもしかしたらヴァージニカだったのかもしれない…と思って懐かしい思い出として思い出しました。
ケチャップと共に出てきて衝撃的でしたw
■トッテン・インレット・ヴァージニカ/TIV(Totten Inlet Virginica)
ヴァージニカの中でも、アメリカのシアトル南部のトッテン入江(Totten Inlet)で養殖されているヴァージニカで「TIV」と呼ばれます。
真牡蠣や岩牡蠣とは異なる味わいでアメリカ全体でとても評価が高く人気もありますが、とても養殖の難しい品種であることから、あまり生産量のない希少価値の高い牡蠣となっています。
マガキ属にもたくさんの種類があって正直びっくりしたカキコでした!
ではまたお会いしましょう♪
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