世界で有名な牡蠣を属性で調べてみた(イタボガキ科イタボガキ属)

牡蠣マメ知識

 

■イタボガキ科イタボガキ属 (Ostrea)の牡蠣

今回は牡蠣の仲間であるイタボガキ科ベッコウガキ科の中でも欧州で人気のヨーロッパヒラガキの属する、イタボガキ科イタボガキ属についてカキコの目線で調べてみました。

 

他の属性については下記のリンクへお進みください。
★世界の牡蠣まとめ(+ベッコウガキ科)
https://namagaki.org/oyster-matome/

★イタボガキ科マガキ属
https://namagaki.org/crassostrea/

イタボガキ科イタボガキ属(このページ)

★イタボガキ科オハグロガキ属★トサカガキ属★Tiostrea属
https://namagaki.org/lopha-tiostrea-saccostrea/

 

イタボガキ科イタボガキ属でも食用とされているものは特にに平たい形状のホタテのような殻で、貝柱も大きく、身も外套膜が平たく広がっているのが特徴として見えてきます。

欧米で人気の品種であるヨーロッパヒラガキもこの属に該当します。

■イタボガキ(Ostrea)

イタボガキ属1つ目。イタボガキですが、属を代表するような名前となっています。日本でもかつては能登半島淡路島周辺でたくさん自生し収穫されていた牡蠣です。

 


画像:イタボガキ

 

しかし、日本では真牡蠣中心の養殖が進み、現在では瀬戸内海周辺で少量流通している程度であまり積極的に養殖されている品種でもなく、絶滅危惧に瀕しているという現状があります。

 

大きさも大きくなる品種ではないため、一定の大きさにするまでに3年前後かかることも養殖するには生産者にとってなかなかの手間とリスクの大きさがあり、それらを担保する販売価格となると養殖するにしても真牡蠣よりも当然高価格で出荷することを避けられないということになることが伺われます。

 

また、日本人が牡蠣として認識している味は内臓部分の白くてクリーミーな柔らかい触感の部分だと思うのですが、イタボガキの場合はどちらかというと弾力のあるホタテを小さくしたようなイメージの貝柱と歯ごたえのある外套膜(ヒモ)の部分の触感、そして塩味であることが特徴です。基本的にはさっぱり味で、後味として若干、独特の甘みと苦みもあるようです。

 

それを考えると、牡蠣と言ってもちょっと明らかに今までのイメージとは別ジャンルの貝類にも思えます。

 


画像:イタボガキ

 

こちらののイタボガキ、食用のみならず貝殻が最上品質の日本画などに使う顔料の原料となることも重要かつ注目されており、現在では養殖技術の開発も進んでいるようではあります。

 

■ヨーロッパヒラガキ/ブロン/フラット/フランス牡蠣 (Ostrea edulis/Belon/European flat oyster)

イタボガキ属2つ目。ヨーロッパ原産で、イタボガキと殆ど同じような外観で輪郭が丸みのある平たい殻をしている欧米で人気の種類の牡蠣です。人気品種とあって、ブロン・フラット・フランス牡蠣など色々な別の名前が存在しています。

 

その中でもブロンと呼ばれる品種については、厳密にはフランスのブルターニュ半島ブロン川河口付近の海域で採れたものだけにつけられる呼び名であるそうです。

 


画像:ヨーロッパヒラガキ

 

古代ローマ人がこのヨーロッパヒラガキの採取のために畜養池をつくったという記録があるくらいに古くからヨーロッパにおける美食の対象となっていた牡蠣です。

 

かつてはフランスで牡蠣と言えば、こちらのヨーロッパヒラガキの事でした。しかし、クマモトオイスターのくだりでも出てきたように、牡蠣の疫病が流行して絶滅の危機に瀕したことから、現在では真牡蠣種が主流となり、かつてほど流通していないようです。

 

ノルウェー中部~モロッコ、特にブリテン島および地中海沿岸に生息しており、日本でも宮城県の気仙沼市舞根(もうね)地域などで僅かに養殖がおこなわれています。イタボガキ同様、養殖には手間とリスクが真牡蠣よりも大きく高価になるためか、高級食材とされています。

 


画像:ヨーロッパヒラガキ

 

味わいに関しても、日本のイタボガキに関するものと同じような印象のようで、身を食べるというよりも汁をすする感じの楽しみ方をする食材で、上品かつ繊細な味わいにプラスして淡い渋味があるようです。その渋みが実にワインに合うことで人気があるという牡蠣講評もありました。

 

 

■オリンピアガキ・オリンピア・タイニー・Oly・(Ostrea lurida/Olympia)

イタボガキ属3つ目。唯一のワシントン州原産の西海岸に自生する牡蠣種オリンピアです。かなり小ぶりであり、成長に時間がかかることはイタボガキヨーロッパヒラガキ同様です。

 


画像:Ostrea lurida

 

アメリカではネイティブ・アメリカンの時代から重要な食材の一つでしたが、ゴールドラッシュ時代に乱獲され、1800年代には一時期絶滅状態にまでなり、20世紀初頭のさらなる乱獲、工業化が進んだことによる水質汚染によって全体数は激減してしまいました。現在では復活のプロジェクトも進んでいるようです。

 


画像:Olympia

 

アメリカの生産者のページによると、「小粒ながらも、スモーキーで銅のようなメタリックな風味が特徴」とあり、ちょっとカキコの体験では想像がつかない味わいがありそうな牡蠣です。イタボガキヨーロッパヒラガキの後味として挙げられている「苦み」「渋み」の延長の味わいなのかもしれません。

 

 

■コケコロモガキ(Ostrea circumpicta)

コケコロモガキだけはどうも他のイタボガキ属と明らかに違和感のある外観で(笑)、ホントに同じ属なのかしらとカキコも思ったのですが、調べた情報ではどこもこの子をイタボガキ属に分類していたので、イタボガキ属なのでしょう(笑)。

 


画像:コケコロモガキ

 

異端児っぽいww

 

自宅の海水水槽で育てている方が何人かいらっしゃることが確認できました。ですので、食用というよりは海水水槽内の水の濾過浄化やバランスを助けてもらう存在として、活用されている方が多いとみました。

 

私も海水ではないですけれども淡水魚を育成していた時期があり、色々な要因で水槽内のPHが急激に変化したり、その影響で大量死が起こったりと、この水質バランスの安定化はとても大事なところになったのを体験しています。

 

このコケコロモガキを水槽に入れるというのは、元々海を浄化する働きもしているカキ類の特徴を素晴らしく活用した方法と言えそうです。

 

興味本位で値段を調べてみたところ、希少種のようで15センチまでの大きさで3000円程度の価格が付いていました。食用の牡蠣に比べても、その界隈ではかなり高価な取引がされているのかもしれません。

 

欧州で人気のヨーロッパヒラガキのほかにも、興味をそそる牡蠣がたくさんありましたね。

 

それではまた、お会いしましょう

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