世界の牡蠣の仲間(イタボガキ科トサカガキ・Tiostrea・オハグロガキ属)

牡蠣マメ知識

 

■イタボガキ科トサカガキ属 (Lopha)の牡蠣

今回は牡蠣の仲間であるイタボガキ科ベッコウガキ科の中でも、メジャーなマガキ属、ベッコウガキ属とは違って、少し変わった分類になるイタボガキ科トサカガキ属Tiostrea属オハグロガキ属についてカキコの目線で調べてみました。

 

他の属性については下記のリンクへお進みください。

★世界の牡蠣まとめ(+ベッコウガキ科)
https://namagaki.org/oyster-matome/

★イタボガキ科マガキ属
https://namagaki.org/crassostrea/

★イタボガキ科イタボガキ属
https://namagaki.org/ostrea/

イタボガキ科オハグロガキ属★トサカガキ属★Tiostrea属(このページ)

 

トサカガキ属はトサカガキしか有名なものが見当たらなかったので1つだけ調べてみました。

 

■トサカガキ (Lopha cristagalli)

調べてみて、思わず笑ってしまったのですが、情報がなければ、トサカガキ属のトサカガキはとてもとても牡蠣の仲間に見えません!!(爆)

 

ですが、名前の通り、鶏のトサカのような鮮やかな赤い色彩と、独特の幾何学形態のようなエッジの利いた外観をしていて、なんともパンチのある個性を持っています。

 


画像:トサカガキ

 

イタボガキ属のご紹介の際に出てきた異端児・コケコロモガキと同様、海水水槽の中で、水質浄化の用途と、さらに水槽内のビビットなアクセントとして取引されているようです。

 

参考取引価格について調べてみたところ、トサカガキでも鮮やかに色が出ているものが高値で取引されているようで、大きさの関係もあるのかもしれませんが、7000円ほどもするものもありました。

 

 

ひょー!であります

 

■イタボガキ科Tiostrea属

イタボガキ科の中でもTiostrea属に関しては属性として明記している資料と明記していない資料と別れていましたが、世界を代表する美味しい牡蠣が属している!ということが分かったため、念のため記載をすることにしました。

 

■名称不詳(Tiostrea chilensis)/ブラフ・オイスター(Bluff Oyster)

イタボガキ科Tiostrea属に分類される牡蠣の中に、ニュージーランドで生産されている世界を代表する牡蠣としても名高いブラフ・オイスターという牡蠣があります。ニュージーランドの中でも最南端のブラフ海域で採れるものだけがこの名前を名乗れるようです。

 


画像:ブラフ・オイスター

 

ニュージーランドでは建国とほぼ同時代にあたる1860年代からこの牡蠣の養殖が始まっており、国と一緒に発展を遂げた由緒ある牡蠣です。

 

カップ型で小ぶりな殻であり、冷たい海でゆっくりと育つため、味に締りがあって大変美味しいと評判です。ニュージーランドの各都市では比較的安価で食べられる流通している牡蠣です。

 

今回のページではかなり美味しそうに見える牡蠣ですww

 

■イタボガキ科オハグロガキ属(Saccostrea)の牡蠣

今回のページのなかで、最もゾクゾクする話題が豊富なのが、このオハグロガキ属です(笑)かなりグロ目の食べられそうにない外観に反して、「実はとても美味しい種類なのではないか??」という仮説になるような証言が続発していました。

数年内にカキコも自分で確認できることを目標にしたいと思いました!

 

■オハグロガキ (Saccostrea mordax)

イタボガキ科ハグロガキ属1つ目。オハグロガキは外観が本当にお歯黒をした歯の模型のようなユニークな形をしている牡蠣の仲間です。調べてみると、中身も一応食べることも出来るようですが、殻に対して身は小さいという報告もあり、見た目のグロさと嵩張る殻の関係で、あまり生産には向かない牡蠣と判断されたのかもしれません。

 


画像:オハグロガキ

 

和歌山県の鉛山湾の岩場でも多く自生しているという報告がありましたので、国内でも採れるところでは大量に海岸でとれる牡蠣なのかもしれません。

 

喰尽師さんのブログにはオハグロガキを調理している珍しいお話とお写真が掲載されていました(笑)ので、ご紹介させていただきます。海岸にオハグロガキが並んで自生している姿も、実にグロくて国内の景観とは思えない非常にユニークな様子なので、ご興味のある方は是非見てみてください。

 


画像:オハグロガキ

 

後でご紹介する同じオハグロガキ属に属する世界で人気のオイスターがあることを考えると、味は結構おいしいのではないか??という仮説をカキコはこの情報の段階で軽く持ちました。ちょっと見かけに怯みそうでもありますが是非一度食べてみたい気がします。。

 

 

■ケガキ (Saccostrea kegaki)

イタボガキ科オハグロガキ属2つ目。殻の周縁部にパイプ状の黒いトゲを持った独特の外観を持つのがケガキです。何となく、ウニと貝の間のような印象の外観ですが、大きさは殻長およそ5センチくらいという事なので想像よりも小型の牡蠣のようです。

 


画像:ケガキ

 

そして、攻撃的な外観の割には中身はかなり美味しそうであることが分かりました!

 


画像:ケガキ

 

おー!

 

真牡蠣に比べると身がやや黄色味を帯びており、外套部の黒い縁取りが薄いのが特徴としてあるようです。また、殻の内部が扁平です。真牡蠣よりも身は小さいものの、プリッとした弾力感がある身をしているそうです。

 

五島列島の方のお話で、ケガキの方が真牡蠣よりも濃厚で味が良いという方もいるらしいというのがカキコとしてはだいぶ衝撃的だったのですけれども、カキコの直近(2021年)の経験ではこれまで日本で食べた真牡蠣の中でも五島列島の真牡蠣はサイコーに濃厚な味わいでした。

それよりも濃厚という事になると、ちょっと事件!!(笑)と思いました。だいぶ大きなスクープと言えそうです。

 

五島列島牡蠣についてはコチラのページでご報告しています。

新宿三丁目で今年初の岩牡蠣!衝撃ノーマーク五島列島の味を知った!
2021年コロナ渦に新宿三丁目の「jackotジャックポット新宿店」さんでいただいた生牡蠣のレポートです。今までノーマークだった五島列島の牡蠣や、岩牡蠣「彩夏(あやか)」カキの女王として名高い「春香(はるか)」を頂きました。

 

■ニュージーランド(Saccostrea glomerata)

イタボガキ科ハグロガキ属3つ目。ニュージーランドという分類の項目で、とても素人カキコには難解だったのが、シドニーロックオイスターがここに分類されているところでした。というのも後ほど紹介しますが、「ニュージーランド」という分類のほかに、「シドニーガキ」という分類があるからです。

 

そこで学名で調べてみたところ、やはりシドニーロックオイスターは学名が「ニュージーランド分類」の「Saccostrea glomerata」になっていたため、こちらに分類しています。※もし間違いがありましたらご指摘いただけると幸いです。いずれにしてもオハグロガキ属で最も世界的に有名な牡蠣と言っていいかと思います。

 

■シドニーロックオイスター・キャビアオイスター・シドニー(Sydney Rock Oyster/Caviar Oyster)

シドニーロックオイスターはオーストラリアの東海岸を中心としたかなり広いエリアでもともと生息しているオーストラリアニュージーランドの固有種です。シドニーという名前が付いているのにシドニー原産ではないというところも、いろいろ複雑な背景がありそうです。

 


画像:シドニーロックオイスター

 

オーストラリアに行ったら絶対に食べろ!と言われているくらいの超名産というべきポジションになっています。味についても小ぶりな身にミネラル(塩辛さ)が凝縮された濃厚な味わいが広がると、とても人気であり味の濃厚さと希少性から「キャビアオイスター」という別名も持っています。

濃厚な甘さに加え、独特の香り、後味として渋みが少し下に残るという複雑で奥深い味わい…ということで、他の牡蠣とは異色の強い個性を持つ特徴を放っているとみられます。

 

シドニーのオハグロガキは、幅広い塩分に耐えることができます(耐塩性)
Wikipedia site

 

ここでハッとするのが、この味に関する評価は、同じオハグロガキ属ケガキの味の評価の情報にちょっとかぶるところがある気がするところです。。

 

やっぱり、ケガキもだいぶ美味しい可能性が高い気がしてきます。

シドニーロックオイスターの中でも、「Merimbula(メリンブラ)」「Wonboyn(ウォンボーイン)」「Port Stephen(ポート・スティーブンス)」など、細かな種類もあるようで、小ぶりであるものの、稚貝から出荷できるサイズになるまでに、2年半~3年半程度かかるそうです。ちなみにシドニーではマガキは1年で出荷されるようです。

 

それだけ出荷までのコストがあるので、シドニーロックオイスターマガキのおよそ2倍の価格で取引されていました。

 


画像:Saccostrea glomerata

 

シドニーロックオイスターはニューサウスウェールズ州や南オーストラリア州、あとはタスマニアのタスマニア州で養殖されていますが、全体の99%をニューサウスウェールズで生産されていることが分かりました。シドニーロックオイスターは特に中年層に人気あるという妙な噂もありましたので、ザ・中年に差し掛かっているカキコもきっととても好きなはずです(爆)

 

シドニーロックオイスターは、その生涯で性別を変えるようで、多くは初めはオスとして始まり、後にメスに変化していく傾向にあり、主要なカキの約60%はメスであることが分かっています。

 

■シドニーガキ・ナタールロックオイスター(Saccostrea commercialis)

イタボガキ科ハグロガキ属4つ目。シドニーガキは、インド太平洋の岩の多い海岸でよく見られる牡蠣で、フード付きのカキであり、外観や形態が多岐にわたるようです。殻の輪郭の形も不規則で環境によるものが多いと言われています。

 


画像:Saccostrea cucullata

 

マガキと混同されることが多い品種ですが、フチが波打っていることが特徴だと言われています。

 


画像:Saccostrea cucullata

 

なんだか、女性のドレスの裾フリルのような、デコラティブな感じの殻をしていますねw

 

 

今回ご紹介した各属の牡蠣はみんな独特のデザインがされていて、だんだんファッションショーを見ているような気分になってきました!

 

■ニセマガキ (Saccostrea echinata)

今回の最後にご紹介するイタボガキ科ハグロガキ属5つ目。ニセマガキです。やはりこちらの牡蠣も外観が独特で素晴らしいファッションセンスをしている牡蠣です。

 


画像:国立自然史博物館, CC BY 4.0 , ウィキメディア・コモンズ経由

 

奄美諸島以南の熱帯西太平洋域が生息域と言われているようですが、どうも九州あたりにも生息しているようです。殻の内側に紫色の縁取りがあります。見えないところもオシャレ。

 


画像:国立自然史博物館, CC BY 4.0 , ウィキメディア・コモンズ経由

 

食べられるかどうか?味、種類など情報が少ない牡蠣でしたが、やっぱりこの牡蠣もオシャレだった!という事だけ分かりました。

 

牡蠣は味も貝殻もテーマは美だった!

 

それではまたお会いしましょう♪

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